どんな研究をしているの?
私は、変形性股関節症患者さんが自分で身体を管理できるように手助けするための指標を開発しています。この病気は、股関節の軟骨がすり減り、関節が変形してしまう病気です。治療法の選択肢としては”保存療法”や”手術療法”などがあります。私が注目しているのは”保存療法”を選択した患者さんが、より長く自分の股関節で生活していくための指標の開発です。
看護学研究者になった経緯は?
もともとは看護師として整形外科の病棟で働いていました。患者さんが手術を受けて回復する姿を見る中で、手術前の通院中のサポート体制を知りたかったのと、看護師としての専門性を深めたかったのとで、大学院に進学し、博士課程で研究をしています。
子育てと研究の両立は難しいですか?
自分の思いが強ければ何とか両立できると思う一方で、他の人にサポートしてもらう体制をしっかり整えていく必要はあると思います。私は家族・保育園・職場のサポートがあり、両立できています。看護学研究者と母親の二足の草鞋は大変ですねと言われることがありますが、逆に、研究だけに没頭するよりも、子どもと過ごす時間の中で、研究に通じる発見もあり、自分にとってはよいバランスだと感じています。自分のライフイベントも大事にしていきたいので、研究期間や出産のタイミングなど長期的に計画を立てています。
研究は社会でどのように役立つのでしょうか?
将来的には、患者さんの自己管理状況を評価し、理学療法士や栄養士などの職種とも情報を共有しながら支援を提供する「サポートプログラム」や「アプリ」を開発したいと考えています。これにより、患者さんの満足度や痛み、精神的負担の改善につなげられたらと思います。
西村先生にとって看護学とは?
看護学は理論と実践の両面に基づいており、患者さんの発達段階や分野ごとに異なるアプローチが必要です。私は特に”慢性期看護”、つまり長期的に病気と向き合う患者さんを支援することをテーマにしていますので、患者さんが病気と共に生きながら、より良い生き方を見つけていくかを考える学問だと思っています。